「目が覚めたか?」
曹丕がゆっくりと瞼を開けると、そこにはいつもの優しい笑顔があった。
「ああ・・・。」

いきなり三成の髪の毛を梳き始める曹丕。
「どうした?」
少し驚いた様子で三成が尋ねる。
「・・・美しいな。」
「・・え?」
「この髪だ。」
「何を、急に・・・」
「照れているのか?」
「ばっ・・・そんな訳!」
「ふ・・・お前の髪には朝日がよく映える。」
「曹丕・・・。」
無言で三成の髪の毛をさらさらと梳き流す曹丕。
曹丕に好きにさせていた三成が、暫くしてその手を掴む。
「・・・何だ?」
「もう良いであろう?」
そのまま曹丕の指の背に口づけを落とし始める。
「偶には私にも触れさせてくれても良いものを。」
「いつも触れているではないか。」
「?」
「昨夜も散々俺の頭にしがみついていたではないか。かなり引っ張られて痛かったぞ?」
意地の悪い笑みを浮かべながら、曹丕の顔を覗き込む三成。
「なっ・・・!」
途端に昨夜のその情景が脳裏に浮かび、曹丕の頬が朱に染まる。
三成はその様子を口端を上げて眺めつつ、
曹丕の指先を口に含み、わざと音を立てて吸う。
「三成・・・!」
思わず曹丕が手を引こうとするが、強い力がそれを許さなかった。
そのまま再び指先に口づけつつ、
三成は空いた方の手で褥に散る曹丕の髪の束を一房掬い上げ、
今度はそれに静かに口づけた。
「三成・・・?」
訝しげに曹丕が見上げる。
「お前の髪の方が数段美しい。」
そう言うと何度も髪の毛に唇を落とす。
「・・・ふっ」
暫く、されるに任せていた曹丕の口元が緩んだ。
「何だ?」
三成が口づけをやめて曹丕の表情を伺った。
「いや、別に。」
「何だというのだ?」
「何でもない。」
「何でもないことはなかろう?今笑ったではないか。」
「別に、ただ・・・」
「ただ、何だ?」
「ただ・・・お前の様子を見ていたら何故か嬉しくなった。・・・それだけだ。」
そういう曹丕の表情(かお)は、とても穏やかで美しく----------
「曹丕っ!お前という奴は・・・!」
「なっ・・!みつなっ・・・!」
その直後、口づけと吐息、そして衣擦れの音が響いた。