軍議を終え、部屋に戻ろうと廊下に出ると、庭は白に染め上げられていた。
静かに降り積もる雪をしばし足を止めて眺める。
「寒くはないか?曹丕。」
「これくらいなら大丈夫だ。」
そう応えた曹丕の手指は、いつにも増して白くなっているように見えた。
三成はおもむろに手袋を外すと曹丕の両手を掴んだ。
触れた途端、切れそうなくらいの冷たさが指を伝わってきた。
「三成?」
「やはり、冷え切っているではないか。」

三成は曹丕の両手を包み込み、己の口元に近づけた。
温かい三成の吐息が曹丕の冷え切った指先に
徐々にいつもの感覚を取り戻させていく。
「こうすれば少しはましであろう?」
そう言いながら、三成は曹丕の指先に何度も優しく口づけを落とす。
三成の行動に少々面食らっていた曹丕だが、指先が温まって行くと共に自然とその表情が柔らかくなる。
「・・・お前にはいつも驚かされる。」
「・・・どういう意味だ?」
「この私にこんなことをする者など・・・」
「今まで居なかった、か?」
曹丕の言葉を遮り、三成が視線を上げた。
その口元にはいつもの皮肉気な笑みが浮かんでいる。
「もう十分だ。いい加減離せ。」
曹丕が手を振りほどこうとすると、強い力で握りしめられた。
「まだだ。」
「私がもう良いと言って・・・」
「俺が最初で安心した。」
「っ・・・?!」
三成の言葉に曹丕の動きが止まる。
「これから先もお前にこんな風に触れて良いのは、俺だけだ。」
いっそう強く両手が握り込まれ、否定は許さないとばかりに強い視線が曹丕を射た。
その瞳の熱さに手だけでなく体温までが徐々に上がっていくのを感じ、曹丕は思わず息を飲んだ。
この瞳に捕まったら、もう逃げられない-----
「・・・随分と、自信過剰なことだな。」
やっとの思いで吐き出した声は掠れていた。
「実力も伴っているはずだが?特にお前に関することならば・・・」
いつの間にか唇が触れそうな距離に三成の顔があり、
あの熱い視線が間近から曹丕を射貫いてきた。
ますます体温が上がり、頭の中に霞が掛かる。
「曹丕・・・。」
両手を戒めたまま曹丕の体を廊下の柱に押しつけ、唇を塞ぐ。
触れた唇は予想外に熱く、それが三成を煽る。
「んっ・・・ふっ・・・」
奥まで舌を挿し入れ、曹丕のそれを絡め取るようにすると、
苦しげな吐息が漏れた。
そのいつもよりも幾分高い音が更に三成を刺激し、もっと奥を求めてしまう。
暫くすると戒められた曹丕の指が三成の指に強く絡みついてきた。
三成も強い力で握り返し、煽るようにわざと音を立てて曹丕の口腔を犯す。
「はぁ・・・」
唇を離すと二人の間に銀糸が光った。
「今日はもう、仕事はなかったな?」
問うと曹丕が無言で小さく頷いた。
「ならば、さっさと部屋に戻るぞ。躰ごと暖めてやる。」
もう一度触れるだけの口づけをし、三成は曹丕の腕を掴んで歩き始めた。